ひとりおしゃべり

頭の中のおしゃべりです。

好きなのになぁ…。というところの「なぁ…」の部分

心の底かららぶ。見渡す限りのらぶ。という作品にたった1つでも出会えたなら、永遠に生きていける気がするのに。

 


ここ数日「大神」というゲームのサントラをまた聴いている。サントラって聴くとゲームやりたくなるのよね。まだ再開してないんだけどさ。

大神は兄がやっていたのでなんとなぁく知っていたけど、実際に自分でセーブデータ作って触ったのはSwitch版が最初。やり込みつつ一通りクリアして、今二週目の途中。ゲームシステムも丁度良くて、アマテラス(主人公の白いオオカミ)もかわいいし、琵琶がじゃんじゃか鳴るBGMはかっこいいし。楽しいんです。

まあただ、昔の(今も改善はされてないけども)ゲームなので…という気持ちになること多々。

「お前おとこだろう?!」みたいな。か弱いおなごを守ってこそおとこだ、みたいな。大きいことを成し得てこそのおとこだ、みたいな。あー古風な(現代にも蔓延る物だけど古クセェので古風と言い切ってやるからな)ジェンダーステレオタイプのおとこのための話だなあ、というのが全編を通してある。アマテラスの相棒のイッスンは社会(村)からの期待の重圧から逃げていたけど世界を変えるほどの才能を発揮してヒーローになる話だし、サブ主人公みたいな位置のスサノオは普段は実力無しのビビリだけどいざという時は真の力を発揮してか弱いおとめを守る話だ。おとこが(ホモソーシャルのなかで)救われる話でよく見る感じ。まあそれはいいよ、神話の時代の話だから。まだ。わかるわかる。

大神には女性キャラももちろん多く出るけど、美しいとされる女たち(それこそ神様たちでも)はとにかく胸がぼよんぼよん跳ねる。違う生き物付いてるか??ってくらいぼよんぼよんするエフェクトがかかる。きもちわる。サクヤという神様(コノハナサクヤ姫)は最初の頃は力が弱まっていて、だんだん力を取り戻していくんだけども、元の姿になるならさぞ布ましましの絢爛豪華な着物になるのだろうとわくわくしてたらまさかのビキニタイプになった。うそだろ。なんでそこだけ現代の価値観持ってきたの。肌を自分の意思で見せるようなキャラでもないのに無駄に布をひん剥かれるのはどうしてなのか。古のゲームめ。たとえ昨日発売されたとしてもそんな古くさくてカビの楽園みたいな思想が横行してるゲームは総じて古のゲームだからな。

総評として、おとこ向けのゲームなんですよね。のっとふぉーみー。おとことして産まれ育ってればまだどこかしら少しはより楽しめたのかしら。私はターゲット層には入っていない、というのがプレイしながらひしひしと分かる。こういうの何回目かなぁ。

昔のゲームだから、とか。時代設定鑑みればまあ分からなくもないよね、とか。私向けじゃなかった、とか。いい加減にしてほしい。好きなものに触れながら、その好きなものが自分を削りにくることが、10や20じゃ足りないし、100でも200でもある。ずっとある。つかれた。

 


ところで先日、カジャラというコント集団の舞台に突発的に誘われて、たまたま当日券が残ってたから見てきた。小林賢太郎という人が座長で、脚本演出やってて、パフォーマーとしてもやってて、中学生高校生くらいにはとても好きな人だった。コントなのでお笑いではあるんだけど、脳みそ働かせながら観る感じの作風で。

カジャラは第一回目のツアーの時に見たきりだった。小林賢太郎はまた次にどんな面白いことをしてくれるんだろうと思ってわくわくして観に行った事を覚えてる。けど、観終わったあとどうにもスッキリしないもんにょり感が残って、声高に面白かったとは言えなかった。面白い小ネタやコントは大いに笑ったけど。第一回の時に、いわゆるスクールカースト最下層の引っ込み思案な拗らせオタの行動を傍目(客席含む)から見て笑う、という流れで進むコントがあった。笑えなかった。あなたがそれをやるのかと小林賢太郎に対して引いた気持ちで見ていた。ホモソーシャルの文脈だね。

今回見た第四回の公演も、「身内がバカやってる」のが面白い、程度のもので。脳みそすっからかんでも楽しめるやつで。私が期待してたものはなかった。これはそれこそノットフォーミーになっただけで、頭を使わずに見られる笑いにやりたい路線が変わったのかもしれない。

でもさ、最後のコントに「(俺に告白する口実に)嘘ついてたんだよあの子!」「女ってそういうとこあるよなー!」っていうやりとりがあってさ。「女ってそういうとこあるよなー!」。「女ってそういうとこあるよな」。そのセリフがずっとぐるぐる回って永遠に心の扉が閉まった音がした。

何が悲しくて安くない金払ってかつて好きだったものから発されるミソジニーを浴びねばならんのか。ホモソーシャルの中でわいわいきゃいきゃいして、女とよわいおとこを足蹴にして楽しく暮らせばいいよ。もう二度と見ない。

 


好きなものから削られたくないというだけの望みがこうも易々と砕かれ続けるのは何なのか。

こんなの数多の経験の中のたった二つだよ。